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May 7, 2016

DIARY INTERVIEW 02

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『NABEさんのお山の上の暮らし』

サルの群れに出会うこともある山道を登っていくと、やっと小さな看板が見えてくる。
昼時を過ぎて伺うと清子さんはキッチンに、そしてお客様が落ち着いて一休みしていたナベさんは全く私に気づかず薪ストーブの前のソファでくつろいでいた。

café&galleryNabeは住宅街から自宅に場を移してもうすぐ3年。
広告もHPもなく一切情報発信されていないにもかかわらず、週末のオープン日にはナベさんと清子さんに会いに人が集まってくる。
あっというまにナベさんのトークの世界に引き込まれた私は、2人の「お山の暮らし」の話を紹介したいと言いだすタイミングを失ってしまった。

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清子さんのサンドとカレーどっちにしようか決めかねていると、同じように悩んでいたお客さんとサンドをシェアすることにし、カレーを注文。
サンドやサラダに使われているサーモン、鶏肉、卵、そして珈琲豆は自宅横の燻製&焙煎小屋で手間をかけてつくられた自家製でどのメニューも美味しい。

ナベさん清子さん夫妻の住まいは27年前、カナダから輸入したセルフビルドのログハウス。
職人が手作業で加工し、一度組上げたものをばらして輸入したハンドカットログハウスというらしい。それまでは借家暮らしで、ログハウスを建てるため山に土地を買って、自分でログハウスを建ててしまった。
住宅会社でさえ山の中での家づくりは大変なのに、当時の苦労を想像するとなんでまたそんな無茶を・・・と思ってしまうけれど、ナベさんの家づくりの話は苦労話ではなく、いつも楽しい自慢話になっている。

 

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直径40センチはあるスプルースの丸太の外部は、森に溶け込むダークブラウンに塗装され、当初 真っ白だったという室内側はつやのある飴色に。
いつまで拭き掃除出来るかなと笑いながら話すナベさん。このツヤツヤの自慢の丸太をみれば長年大事にメンテナンスされてきたのがわかる。

絶景が広がるテラス席の隅には、岩田屋と記された元冷蔵庫が置かれている。子供さんが小学生の頃、いい感じの箱が落ちているよと知らせてくれて、もらってきたそうで「いいモノ」との縁の引きの強さは昔からだったんだと知れる好きなエピソード。

家中に知人作家の作品、手紙がぎっしりと貼られたボード、自慢げに見せてくれた掘り出し物の薬缶、流行に左右されない2人の模範で選ばれたものに囲まれ、私がイメージするカントリー調で少し圧迫感があるログハウスとは全く異なり、こんなに大きな存在感ある丸太が重なっているのにもかかわらず(怒られるだろうけれど)言われるまでログハウスだと気付かなかったのは、この家が工法や材料を超越し家族でつくってきた作品だからかなと思うと腑に落ちた。

 

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ログハウス横には焙煎&燻製小屋、そしてその隣には小屋の屋根を超える高さのツリーハウスが鎮座している。
360度遮るものがないツリーハウスに登り一息つくと、世間は倍速で進んでいるのではないかと感じるほど、穏やかな気持ちになれる。

ツリーハウスつくるから見においでと声をかけてもらったのは3年前。
ログハウスも、小屋も家具も内装も何でも自分でつくってしまうナベさんだから驚きはしなかったけれど、当日仲間が集まり、高さ4mの位置にツリーハウスの床が敷かれた時は本格的すぎてあっけにとられ、高所が苦手な私は梯子を登れず小屋に飾られている記念写真にいないことが今も悔やまれる。
ログハウスを建てた27年前も仲間とワイワイ こんな感じだったのかもしれない。
まわりを巻きこんでおもしろい体験をさせてくれ、いつも本気で本物をつくってしまう。

 

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ナベさんはよく「今を生きる」と口にし何事にも潔く、清子さんの温かくまぁるい心は解毒剤に匹敵する。
きっと2人は昔からずっと今のような暮らしをされてきたのかと思えば、ログハウスへの引越し、人との出会いや出来事を経て、暮らし方や働き方に対する考え方が大きく変わっていったそう。

今できることをやればいいと背中を押してくれ、山をおりる頃には自分の軸のぐらつきがおさまったような清々しい気持ちになる、わたしにとって大事な場所。
残念ながらお店は予定通り3年目の今年5月にcloseしてしまう。

5月café&galleryNabe最後のイベントを終えると2人はまた日本一周の旅に出発。
SNSなどしない2人がいつどこにいて、何があったかその時に知る術はないけれど、今度はどんなおもしろいことにまきこんでくれるのか、2人の旅の話が今から待ち遠しい。

 

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《profile》
渡辺洋冶さん
渡辺清子さん
DESIGNSTADIOから始まり、少年夢工房、café&galleryNabe と32年の活動に幕を閉じ、新たな暮らしをスタートされる。
★ラストイベント H28年5月17~22日 

Text&Photo_Miho Narimura  (H28.3.13)


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